(公財)日本国際連合協会主催「第60回国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテスト」
今回、全国27都道府県より、応募総数1,242点のうち、予選通過作品45点が本選にすすみました。そして、滋賀県からは滋賀大学教育学部附属中学校 1年 福元 浩太朗さんの作文が、見事『佳作』に選ばれましたのでご紹介いたします。
受賞おめでとうございます!
『佳作』
「『SDGsが目指す「誰も取り残さない」社会を作るために、自分には何ができるか』
滋賀大学教育学部附属中学校 1年 福元 浩太朗さん
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僕は、17のSDGsのうち、「質の高い教育をみんなに」という目標に注目しました。その理由は三つあります。
母は学生時代に、エジプトを旅行しました。そこで、三歳前後の子供達が観光客を見つけては物乞いしてくるのを目の当たりにして、それが今でも忘れられないそうです。日本では、そのような光景を見ることはありません。その子供達は、物心ついた時から、(みんな、こうするものだ)と思っているのでしょう。母はとても複雑な気持ちになったそうです。
また、エジプトのある商店街に母が立ち寄った時のことです。1人の男性店員は、商品を買おうとしている母に、「ノーディスカウント(まけない)。その代わりにデートします。」と平然と言ったそうです。このようなことを望む日本人がいることに、母は、同じ日本人としてショックを受けました。
最後に、あるドキュメンタリー番組での女性起業家の話です。彼女は、海外の貧困地域から輸入したカバンを日本で販売しています。その理由は、僕のこれまでの発想にはなかったものでした。貧困地域の人達のために、募金活動が行われていますが、彼女は言います。募金は、彼らにとって一時的な援助にしかならない、と。彼らに必要なことは、就職して、安定した生活を送ることだ。その仕事が信頼を得られるだけの内容なら、仕事がまいこみ、その結果、収入も得られる。人に必要とされることで、彼らには生きがいも生まれるでしょう。彼女は日本で求められるレベルの技能を現地の人々に求めます。全ては彼らのため、決して妥協しません。就労支援を行い、その後、彼女は彼らを現地のスタッフとする雇用契約を交わします。こうして、彼らは、生活レベルの向上に向けて、アイデアを出し合っています。
僕は、こうした話を聞いて、問題の根底に深刻な貧困と教育問題があると思います。二〇一七年時点で、世界では6~14歳の一億二四〇〇万人の子供達が学校に通えていません。このうち、初等教育を受けられていない子供は約六一〇〇万人もいます。エジプトで物乞いする子供達の多くは、貧しい家庭事情のため、家計を助けるために物乞いせざるを得なかったのかもしれません。教育を受けないと生きていく上で重要な知識を得られず、就職に必要な能力を身につけることができず、生活を改善する知恵も浮かびません。
僕は、改めて質の高い教育を平等に受けることの重要性を強く感じました。「誰も取り残さない」社会を作るためには、子供達の環境を整えることが必要で、多くの資金が必要です。そのためには、寄付もやはり必要です。
すべての子供達が教育を受けるために、僕がするべきことは、まずは、僕自身が教育を受けられる環境にいることに感謝し、知識を増やさなければいけません。新聞やテレビなどのマスメディアを通じて、常に社会情勢に目を向けて、学校の授業や友達との会話から情報を得て、自分の考えをしっかり持ち続けることが大切です。また、問題について、より多くの人達に関心を持ってもらう活動に参加することで、自分の知識を深める機会を得るばかりか、共感してくれる人が増え、問題解消の一助となると考えます。僕をはじめ、一人一人が正しい考えと知識を持ち、社会貢献に努めることは、SDGsの教育以外の目標である「貧困をなくす」「飢餓をゼロに」にもつながり、そのような人が増えてくると、「誰も取り残さない」社会に近づいていき、未来が明るくなると思います。