保存版 できることから地震対策!! ~そなえれば地震はコワクナイ~
発 行: 滋賀県 翻訳・編集: 滋賀県国際協会・ボランティアグループ「みみタロウ」 http://www.s-i-a.or.jp
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- 「ドン!」ときたら、「ぐらっ」ときたら
- 外出先では周囲のパニックにまどわされない
- こうすれば家具は固定できる
- 非常持ち出し品をそろえましょう
- 地震の二次災害に備えましょう
- 家族で連絡方法を決めておきましょう
- 避難生活も考えておきましょう
- 応急手当をマスターしましょう
- 地震災害、お役立ちシート(保存版)
「ドン!」ときたら、「ぐらっ」ときたら あわてず確実に
最近、日本各地で地震が起きています。滋賀県でも、琵琶湖西岸断層帯による地震や東南海・南海地震によって、強いゆれが生じる可能性は県内の広い範囲におよんでいます。いざ、という時にそなえがあるように、徹底地震対策情報をお届けします。
発生!
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- まず身を守ることに徹します。
机やベッドの下に身をかくし、寝ているときはふとん・枕で頭を守ります。 - 小さなゆれでも火を消す習慣をつけておきます。
ただし、自動的にガスの供給を遮断するガスマイコンメーターが設置されているので、無理をしてはいけません。
1〜2分後
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- 避難口を確保します。ドア・窓を開けて脱出口を確保します。
集合住宅はドアが開かなくなることがありますが、窓は比較的開きやすくなっています。 - 火元の確認と初期消火をします。
- 屋内でもくつをはきます。ガラスなどから足を守り、すぐに避難できるようにしておきます。
- 家族の安全を確認します。家屋の倒壊・山崩れなどの危険があればただちに避難します。
屋外に出るときは割れたガラスや瓦、看板が落ちてこないか十分注意します。
3〜5分後
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- 非常持出品を手元に用意します。
- 近所の出火を確認します。
- 情報を収集します。ラジオなどから正しい情報を集め、デマにまどわされないようにします。
5〜10分後
- 地域の災害時要援護者の安否を確認します。
10分後〜数時間後
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- 余震による家屋の倒壊や、火災の延焼などの危険があれば避難します。
- 子どもを学校などにむかえに行きます。
- 出火を防止します。ガスの元栓を閉めます。自宅をはなれるときは、電気のブレーカーも落とします。
- 自宅をはなれるときは、行き先をメモに書いて玄関など目立つところにはります。
〜3日
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- 非常備蓄品を取り出します。自足の生活が原則ですが、地域での助け合いも大切です。
- 自主防災組織やとなり近所と協力して救助救出、消火活動をします。消防署等への通報もします。
- 避難するときは集団で行動します。避難は徒歩とし、ブロック塀、切れた電線、ガラス窓には近づかないようにします。
- 情報を収集します。県市町の広報に注意します。
~外出先では周囲のパニックにまどわされない~
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ビル街
建物の倒壊、ガラス・看板などの落下、自動販売機の転倒に注意します。かばんで頭を守って広場などへ避難します。
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住宅街
ブロック 塀 ・ 門柱 の転倒、ガラス・瓦の落下、切れた電線に注意します。
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地下街
構造的に丈夫で火災に対する設備も充実しています。ゆれがおさまってからおちついて誘導標識や誘導員の指示で避難します。
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車の運転中
ハンドルをしっかり握り、道路の左に寄せて止め、ラジオで情報を得ます。車を避難するときは窓を閉め、ドアはロックせずにキーをさしたまま置いておきます。できれば車検証などを持っていきます。
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エレベーター
全ての階のボタンを押して、止まった階で降ります。閉じ込められたら呼び出しボタンを押し続けます。
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デパート・スーパー
買い物かごやかばんで頭を守ります。商品や棚の下敷きにならないように安全な場所でゆれがおさまるのを待ち、店員の指示で避難します。
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電車・地下鉄・バス
前の座席や手すりにしっかりつかまります。非常口から脱出するときは係員の指示に従います。
~災害時要援護者へ配慮しましょう~
※災害時要援護者:高齢者・乳幼児・病気や障害のある人など、自力で災害に対応することが困難な人
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高齢者・傷病者
応急の担架を使用するか、おぶって避難します。
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目の不自由な人
状況を知らせ、避難する場合は、つえを持つ手の反対の手でひじの上あたりをつかんでもらい、ゆっくり誘導します。階段や障害物は説明しながら歩きます。
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耳の不自由な人
身ぶりや筆談で、あるいは大きく口を動かして話します。
こうすれば家具は固定できる
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タンス等
- つっぱり棒を使うときは、天井が十分強固であることを確認。
- じゅうたんや畳の上の家具は倒れやすい。できるだけ別の部屋に移すか、下に板をしく。
- 傷をつけたくない家具やネジ止めができない家具を固定する場合、天板の上にもう一枚板を置き、この板に金具を取り付ける。
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食器棚・本棚等
- 本棚には重たい本は下に入れ、できるだけ隙間をなくす。
- ガラス面には飛散防止フィルムを貼る。
- 棚板にふきんをしくとすべり止めになる。
- 棚の上の荷物はおちてくるのでできるだけ置かない
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テレビ・パソコン等
- 高い場所に置かないようにします。
- 樹脂製の免震シートは耐荷重と耐用年数を確認。極端に重たい物への使用には要注意。
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冷蔵庫
- 扉が開いて中のものが飛び出さないように開き止め金具を。
- 固定は裏の取手と壁をつなぐか(専用の器具のあるものもある)、扉と扉の間にワイヤーを通して壁と固定。
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照明
- 蛍光灯は両端を耐熱テープで止める。
- 吊り下げ型は、ワイヤーやチェーンで天井と数個所で固定。
ピアノ
- 脚にはすべり止め、本体には傷がつかないようにビニールでコートされたワイヤーやテープを巻くなどしたワイヤーで壁と固定。
壁の下地を確認
- ヒートンとワイヤー・チェーンまたはL字金具で家具を壁に固定するときは、柱、鴨居、壁の中柱・中桟にネジがくるようにします。
- 石膏ボードでは十分に固定できないことがあります。
エアコン・壁掛け時計・額
- L字金具やフックで壁と固定します。
家具の配置も工夫しましょう。
- 寝室には家具を置かない
- 特に高齢者や子どもの部屋には大きな家具を置かない
- 家具が倒れやすい方向には寝ない
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- 出入り口付近には物を置かない
- 家具は倒れても逃げ道をふさがないように置く
非常持ち出し品を揃えておきましょう
非常持出品
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避難するときにもっていくための備蓄品です。
枕もとやベッドの下などにくつ、手袋、ヘルメット等と一緒に備えておきます。男性15kg、女性10kgが目安、子どもは自分でもてる大きさを。
離ればなれになったときのために荷物は各自のリュックサックに分散させます。
- 「その他」としては、携帯電話の充電器(車のシガーソケットから充電できるタイプ、使いきりタイプ)、粉ミルク・ほ乳びん、紙おむつ、かぶれ止め、清浄綿、母子健康手帳のコピー、離乳食、常備薬と処方せんのコピー、おかゆ、補聴器、ラジオなど。
- 印鑑や通帳、権利証、貴金属類を持出袋に入れておくと空き巣にねらわれるので、すぐ持ち出せる安全な場所に保管します。
非常備蓄品
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救援活動が受けられるまで自活するための備蓄品です。
家族が3日間程度過ごすために必要な量が目安です。すぐに取り出せる場所に保管します。
いつも食べている物、使っている物をちょっと余分に買い置きしておけば立派な「非常備蓄品」になります。入れかえは忘れずに!!
その他の装備
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それぞれすぐ使える場所に常備しましょう。
- 台所・居間(消火器)
- 玄関からの脱出用(斧などの工具)
- 2階からの脱出用(縄)
職場から歩いて帰る事態に備えて、机やロッカーにも運動靴、手袋、タオル、高カロリー食品、水、動きやすい服装、経路図、家族の写真などを備えておきます。
どこで買えるの?
防災用品コーナーやアウトドア店なら専用の商品も豊富ですが、多くは通常の店、売り場で購入可能です。
災害時に必要な物は普段の買物をしながら探すのが基本です。
- 非常食:かんパンに加え、日持ちのする普通の食品も用意しておく。入れかえは忘れずに。
- 懐中電灯、ラジオ:通常の電気店でも購入可能。電池不要の人力発電タイプもある。
- ヘルメット:ホームセンター、土木建築用金物店で購入可能。バイク用やスポーツ用も調べてみるとよい。
地震の二次被害に備えましょう
消火のチャンスは 3 回
ゆれを感じたとき
最初の衝撃がそれほど強くなければ、すかさず火を消します。日ごろから小さなゆれでも火を消す習慣をつけます。
ゆれがおさまったとき
強いゆれの最中に火元に近づくのはかえって危険です。
ゆれがおさまるのを待って火を消します。
出火したとき
出火してから 3分間が勝負です。小さな出火でも大声で近所に助けを求め、119番通報もします。消火器や水だけでなく、毛布でおおうなど手近なものをフル活用します。ただし、天井に火が移ったらいさぎよく避難します。燃えている部屋のドアや窓はできるだけ閉めて空気を 遮断します。
消火器の使い方
<1> 安全ピンに指をかけ、上に引き抜く
<2> ホースをはずして火元に向ける
<3> レバーを強くにぎって噴射する
<4> 左右にほうきではくようにする
<5> 出口を背にして、煙や薬剤で退路を見失わないようにする
火元別初期消火の方法
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油なべ
- あわてて水をかけない
- 毛布や大きめのタオルをぬらして火の手前からかぶせて空気を遮断する(消火器の利用も可)
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石油ストーブ
- 真上から一気に水をかける
- 灯油がこぼれて広がっていたら毛布などでおおってから水をかける(消火器の利用も可)
自分自身
- 転げ回る、人にたたき消してもらう(消火器の利用も可)
- 髪の毛の場合は頭からタオルや衣類をかぶる(化学繊維はさける)
風呂場
- いきなり戸を開けると火の勢いが強くなることがあり危険
- ガスの元栓を閉め、戸を徐々に開けて、一気に消火する
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電化製品
- まずコンセントを抜いて感電を防止してから消火する
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カーテン・ふすま
- 天井に燃え移らせないために、カーテンは引きちぎり、ふすまはけり倒してから消火する
火災からの避難のポイント
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- 天井に火が移ったら初期消火の限界、すぐに避難
- 災害時要援護者を優先
- 服装、持ち物にこだわらずできるだけ早く避難
- ちゅうちょは禁物、火の中は一気に走りぬける
- 煙に巻かれないように姿勢は低く
- いったん逃げ出したら中には戻らない
- 逃げ遅れた人がいるときは近くの消防隊員に知らせる
地震保険について
地震による火災被害(延焼を含む)は、火災保険では保険金が支払われません。
地震保険は火災保険に付け加える契約ですので、契約している保険会社に確認しましょう。
家族で連絡方法を決めておきましょう
緊急の通信を優先させるためにも、家族間の連絡は通話ではなく、別の手段を利用しましょう。
- NTT災害用伝言ダイヤル「171」を利用します。
- 公衆電話は優先的に回線が割り当てられ、つながりやすいので、近所の公衆電話の場所はチェックしておきます。
- 被災地にかけるより、遠隔地にかけた方がつながりやすいので、遠隔地の親せきに各自が連絡を入れて情報を集約してもらうことも可能です。
災害用伝言ダイヤル
毎月1日、正月三が日、防災週間(8 月 30 日~9 月 5 日)防災とボランティア週間(1 月 15 日~1 月 21 日)は体験利用できます。
「171」を覚えておこう!
災害用伝言ダイヤルの使用法
- 録音 171→1
再生 171→2 - 被災地からは自宅の電話番号、被災地外からは被災地の連絡をとりたい番号
(000)000-0000 - 伝言を入れる(1件30秒以内、最大10件まで)
伝言を聞く
一般電話(プッシュ回線、ダイヤル回線とも)、公衆電話、携帯電話、PHS*等から利用できます。
- * 一部事業者は除きます。
携帯電話では「災害用伝言板」も利用できます。
- メール機能を利用したサービスです。
- NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルなどでご利用できます。(携帯電話会社に問合せ下さい)
- 使い方をあらかじめ確認しておきます。
「何もできない」が約4割
平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。そのとき、人々がどういう行動をとったのかをアンケートしたところ、「何もできなかった」と答えた人が39.5%にのぼっています。 人は恐怖感を抱くと、とっさに身動きがとれなくなったり、パニックにおちいったりしがちです。いざというときに冷静に行動できないと、命にかかわる危険性も。 地震発生時にあわてないためにも、いざというときどうしたらいいかを、家族みんなで話し合っておきましょう。
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阪神・淡路大震災時にとった行動(複数回答)
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(『阪神・淡路大震災における消防活動の記録』神戸市消防局編)
避難生活も考えておきましょう
不自由で、プライバシーもほとんどない生活ですが、そんなときこそおたがいの気持ちを理解し合い助け合いましょう。
- 避難所では、自主防災組織や自治会に入っていない人、災害時要援護者、旅行者などが孤立しないように、また自分も孤立しないように十分にコミュニケーションを取ります。
- 悩む前に避難所にいる自治体職員や保健師、警察官に相談します。
- 迷惑をかけないようにします。
- ストレスの解消に努めます。軽い運動でも効果があります。
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- 避難所の運営は行政やボランティアに任せきりにせず、自主防災組織などが中心となって管理・運営します。
- かぜやインフルエンザの蔓延のおそれがあります。手洗い・うがいを し、必要に応じてマスクを着用します。
- 車の中に泊まる場合、エコノミークラス症候群に注意します。やむを得ず車中ですごす場合は、水分をこまめにとり、足先を動かす運動をします。車中泊も数日が限界のようです。
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被災家屋へは
応急危険度判定士が家屋の二次被害の危険性を判断し、入り口付近にステッカーをはります。
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赤: 危険・その建物は立入禁止
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黄: 要注意・立ち入りに十分注意
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緑: 調査済み・建物は使用可能
-
ガスは震度5程度以上で自動的に遮断される装置がほぼ全戸に取り付けられています。安全確認と復旧の方法は事前に確認しておきます。
-
トイレは使う前に水だけを流して下水道が復旧しているか確認します。不具合があったら市町役場に連絡します。
電気のブレーカーを入れる前に、ガスのにおいがしないか確認します。 - ガスが漏れていたら十分換気します。その時、換気扇をつけないように注意してください。
応急手当をマスターしましょう
地震災害のように同時に多数のけが人が発生した場合、救急による救護が望めない事態も考えられます。いざというときのために応急手当ての方法を身につけましょう。
止血法
出血が多いと、おどろいてあわててしまいがちですが、落ち着いてただちに止血の手当てをしてください。通常、成人では400ml程度なら問題はありませんが、全身の1/3(1,500ml程度)以上を失うと生命が危険になります。出血はどこから、どのように、どのくらい出ているのか観察します。
- ふき出るような出血か ⇒ 動脈性出血:大至急止血を
- わき出るような出血か ⇒ 静脈性出血:早急に止血を
- にじみ出るような出血か
直接圧迫止血法
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- 傷口を十分におおえる大きさの清潔なガーゼや布を当てその上を強く押さえる
- 傷口を心臓より高くしておく
間接圧迫止血法
ふき出るような出血で、直接圧迫止血の準備ができるまでの間、出血している所から心臓に近い動脈を骨に向かって押さえます。
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上腕の中央の内側
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わきの下の中央
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手首のつけ根
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指の両側
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またのつけ根
骨折
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- 折れた部分に添え木(副木)をあてて固定し、医療機関へ
- 適当な添え木がなければ、板、雑誌、かさ、段ボールなど、身近にあるもので代用を
やけど
- 流水で冷やす
- 刺激が強い場合はやけどした所に直接水圧がかからないよう洗面器などにひたす
- 服が燃えるやけどの場合は着たままの状態で水をゆっくりかける
- 広範囲でやけどした場合はホースやバケツで水をかけるか、水につけた清潔なシーツなどでやけどした所を冷やす
- 子供が広範囲でやけどした場合で寒い季節以外は、浴槽の水で冷やす
この他に人工呼吸や心臓マッサージが必要な場面に遭遇するかもしれません。消防署や市町、日本赤十字社が開催する講習会などで心肺蘇生法をマスターしておきましょう。大手スキューバダイビング団体でも救命法の講座を開いているところがあります。